http://fez.ya-gasuri.com/%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E7%90%86%E8%AB%96/%E7%B0%A1%E5%8D%98%E3%81%AA%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E7%B7%A8%E6%9B%B2ピアノロールのための作曲講座 - 4 ~簡単なピアノ編曲~
最も単純なメロディ←前
今回語るのは厳密には作曲ではない作業です。
とはいえ、これをしないと曲としてなんとも寂しい状態なのでこちらも説明することにします。
編曲はアレンジとも言い、演奏する楽器の編成や奏法を決める作業のことを指します。
ドラムとエレキベースでリズムを組み立ててエレキギターでコードを鳴らせばロック風に。
TR-909とシンセでリズムを組み立ててBPMが120前後であればハウスミュージック風に。
大量の弦楽器と管楽器とその他諸々を駆使すればオーケストラ演奏もできます。
とは言え、最初から多数の楽器を使いこなせるわけもないので今回はピアノだけを使って編曲していきます。
前回作ったメロディ(内音のみを使用したもの)を使用します。
楽器の奏法を決めると言うと大層に聞こえますが、メロディを一オクターブだけズラすだけでもメロディの印象は変わります。
コードの方も一オクターブ上げてみましょう。
メロディの音の変化は変わっていないのに、メロディの印象も変わったはずです。
こういう変化を積み重ねてメロディの印象を狙った方向に向けるのが編曲です。
コードの差し替えでメロディの印象が変わったように、楽器の演奏方法を変えることでもメロディの印象は変わるのです。(編曲の段階でコードを差し替えることもあります)
コードの奏法を更に考えてみましょう。
現在はコードに使用されている音を全て同時に、長く発音させ続けています。こういうパターンは楽譜に書いたときの記号から白玉と呼ばれたりしますね。
これに変化をつけるなら発音タイミングをずらすか、長く発音させず短く切るかの二つのパターンが考えられます。
まずは短く切るパターンで試行錯誤してみましょう。こういったコードの弾き方は刻みと言われます。
元は四拍の長さでコードを鳴らしていましたが、これを全て一拍に変えてみます。
全体的にスッキリしました。スッキリしすぎました。隙間ができてしまった分、寂しく感じられますね。
何度も鳴らしてみることにしましょう。
今度はうるさすぎますね、ちょっとコードのノートのベロシティを下げましょう。
曲に弾みが付きました。
等間隔に弾くだけでなく、リズムを崩してもメリハリがついて面白いです。
不思議なことに、音が鳴っていない場面でもコードを感じ取ることができます。
6小節目の最初の部分ではコードが変わったのに音が鳴っていないのでなんとも変な感じですが、聴いて嫌ではないと思えれば成功です。
今回はメロディが4分でない部分を中心に音を抜いてみました。強調したい箇所・聴くべき場所がわかりやすくなったような気がしませんか?
今度はもう一つのパターン、音をずらす場合について考えてみましょう。これはアルペジオと呼ばれます。
低い音から順番に、4分音符の間隔で発音するノートを増やしてみます。
後に行くほど音が強くなっていくのがバランスが悪いかな、という気がします。
ここからのアプローチは二つ考えられます。発音間隔をもっと短く白玉に近づけるかか、音を伸ばさないようにするかです。
まずは発音間隔を短くしたパターン。8分間隔で鳴らしてみましょう。
音の響きはあまり白玉とは変わりませんが、よりコードが強調された印象です。
次は音を伸ばさないパターン。
メロディが二つになったようにも聞こえますが、コードだと言われればそんな気もしませんか?
今度は発音する順番を変えてみましょう。
前半と後半でも発音順が違いますが、気が付いたでしょうか?
最終的に同じ四音を発音するとしても、発音する順番を一つ入れ替えただけでそれなりに印象が変わります。
一曲を通して全て同じコードの弾き方、ということはまずありません。場面毎に切り替えるのが普通です。
ある小節では白玉、ある小節では刻み、ある小節ではアルペジオと使い分けることでより多様な印象をリスナーに与えることが出来ます。
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